【子どもがゲイをカミングアウト①】何があっても大切な我が子

HOW TO for GAY

およそ8人に1人いると言われているLGBT
もし自分の子どもからLGBTであることをカミングアウトされたらどうすればいいのか?
お子さんをお持ちの方は、今後そういうことがあるかもしれないし、
もしかしたら今もうすでにカミングアウトされたかもしれません。

僕は、
30歳の時に自分の両親にゲイであることをカミングアウトしました。
その時の両親の顔は一生忘れません。

おそらく、
予想もしていなかった息子の告白に、
親としてどういう言葉を投げかけてあげればいいのか、という気持ちと、
もっと感情的に人生が崩れそうになるような気持ちとが、
深いところで複雑に混ざり合って、そこから逃げられなくなるような苦しい顔でした。

実は、
僕は20年近く学習塾で働いているので、
親が子どもに捧げる気持ちがどういうものか、痛いほどよくよく分かっていました。
様々な家庭が、受験の試練を乗り越えながら、
人として、親が子どもに何を伝えようとしているのか、たくさん見てきました。
だから、僕は両親がどういう気持ちになるのか
あらかじめ予想できていたんです。

だから僕は、
両親に必要以上にショックを与えず、前向きな考え方になれるよう、
両親の気持ちを誘導できたところも多々あります。
僕の話を聞いた両親は、自分の息子のことだから悩み苦しみつつも、
大切なことを見失うことなく、道を大きく誤ることもなく、
僕が40歳になった今も、良好な関係を保てていると思います。

このシリーズでは、
お子さんからカミングアウトを受けた親御さんのために、
お子さんとどう接していけばいいのかを、
全体的な考え方から、具体的な方法論まで、
さまざまな角度からお話しますね。

そのため、とても長い記事になってしまったので、
シリーズでお届けします。
(NHKスペシャルかw)

記事を読み終えると、
お子さんの状況、親御さん自身の状況、
親子関係、将来の考え方、
など、
いろいろとクリアになって前向きに考えていけるようになります。

特に今回の本記事では、
「子どもを死なせない」というタイトルで、ちょっとびっくりするかもしれませんが、
子どもにとってはそのくらい大きな決意のもとに、カミングアウトをすることがあります。
もしかしたら、受け入れられないこともあるかもしれませんが、
まずはお子さんにしっかり耳を傾けて聞いてあげてください。

上野正卯(うえの・しょうぼう)


1979年・千葉県生まれ・ゲイ。
現在、付き合って7年になる彼氏と同棲中。
大学卒業後は教育業界で18年。
ゲイとして悩んだり工夫したりしたことが、
多方面で大きく活用できることを実感しています。

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親も混乱していいんです

日本にも、レズビアンカップルが子どもを育てるケースがありますが、
まだまだ少数も少数。
大多数は、親がLGBT当事者っていうケースじゃありません。

だからっていうワケではありませんが(笑)、
正直、、、ねぇ。
混乱しますよね
親って言っても万能じゃないし、
突然そんなこと言われても、そんな経験したことないし、
周りにゲイの知り合いなんていないし、
どう対処すればいいのかなんて、わかりません。

だって、ドラマでだってそんなシーン見たことないもん。

それでいいんです。
混乱して当然です。

そして、
お子さんは、相当の覚悟をもって、等身大のままでぶつかってきたはずです。
も、等身大のまま、正直な気持ちを伝えていいと思います。
ただし、冷静に。

「まさかあなたがそういう人だったとは知らなかった。
正直
すごくびっくりしたし、今すごく混乱している。
でも理解できるように努力したいから、
少し気持ちを整理する時間をくれる?
伝えてくれてありがとうね。緊張したんじゃない?」

親自身の気持ちをすべて書き出してみる

これは僕もよくやる方法なのですが、
頭も心もぐちゃぐちゃになって混乱したとき、
人は効率的に整理して考えることが難しくなってきます。

そして、
一番大きい感情だけが、強く記憶に残ります。
数々の小さな「気づき」は、忘れ去られていきます。

「息子にゲイなんかになってほしくない!」
という強い気持ちが印象に残って、
「それでも生きていてくれたらお母さんは嬉しい」
という気持ちが一瞬だけ脳裏をよぎったことは、忘れられます。
だけど、
その小さな「気づき」が、お子さんを救うことになるかもしれません。

ですから、
紙やパソコン、スマホ、何でも構わないので、

思ったことを、
思った順に、
好きに書き並べてみてください!

  • なんで?うちの子がゲイ?
  • 結婚もできない、家庭も築けないの?
  • あんなオカマの怪物みたいなの?うちの子が?
  • いつから?
  • え、治せないの?
  • ちゃんとした女の子と付き合ったことがないからだ
  • カウンセリングとか受けたら良くなるんじゃないか
  • でもそういえば今まで彼女ができたことなかったな・・・
  • あ、そういえば昔こういうことがあった。あれもそうだったんだ
  • 私の育て方が悪かったのか・・・
  • 孫の顔、見れないのか
  • 妊娠している時に飲んだ薬が良くなかったのか?
  • この子がこうなったのは、私のせいだ
  • この子は一生独身、幸せになれないんだ

そして、
もうだいたい全部出たかなぁーというところでペンを止めましょう。

ちょっと読み返してみてください。

こうすると、
解決すべき課題、
努力すべき課題、
考え方を変えることで何とかなる課題、
放置していても良い課題、

などが明確に見えてきます。

経験のない問題を乗り越えるときは、
一分一秒を争うようなことじゃなければ、
このように視覚的に問題を描き並べるだけで、解決しやすくなるんです。

ちょっと余談「ゲイになる理由を素人が考えるだけ無駄」

これは余談っていうレベルでは到底ないんですが、
話の本筋から少しずれるので、余談として書いておきます。

ゲイになる原因は、科学的に解明されていません。

様々な研究論文や推測が飛び交っていますが、
どれも推測の域を脱しないというのが現状です。

ですから、
考えても無駄です。

厳しいかもしれませんが、
悩んで考えて解決できるなら、考えてください。
悩んで考えても解決できないなら、時間の無駄です。

結論に達しないまま、考え続けて、
心の病自死などに至ることもあります。
まったくもって生産的ではありません。

同じように考えて悩むなら、
事態をよくできることで頭を使いましょう!

カミングアウトを受けたら半数が「受け入れたくない」

30代~50代の子どもがいる男女566人に行った、
「親に聞いた、子供からのカミングアウト」に関する調査株式会社レティビー・2016年)で、
「もしも、自分の子供からLGBTだとカミングアウトされたらどう思いますか?」
というデータがあります。

●好意的に受け入れる・驚くがすぐに受け入れられる・時間をかければ受け入れられる
など、受け入れることに前向きな回答が合計で47.3%
●受け入れたくないが、しょうがないので受け入れる・断固として受け入れられない
など、受け入れることに後ろ向きな回答が49.7%

「受け入れたくない」「できれば受け入れてあげたい」半分ずつという結果です。

受け入れられる親は、セクシャリティがどういうものか知っている

さらに、
「受け入れられる」と回答した理由は何ですか?(※複数回答可)
という問いに対しては、

セクシャリティの多様性を知っていることや、
セクシャリティが親の意思では変わらないことなど、
セクシャリティがどういうものか知っている方が多い結果です。

セクシャリティについて知らないと、受け入れるのは難しくなる

また、
「断固として受け入れられない」と回答した理由は何ですか?(※複数回答可)
という強い拒否感を抱いた方の理由を聞いてみると、

「病気だと思っているから」
「恥ずべきことだと思うから」
「一時的な気の迷いだから」
「気持ち悪いから」
「法律で認められていないから」
など、LGBTへの理解や知識がないことがうかがえる回答が多かったです。

カミングアウトしている人は、都市部の方が多い

宝塚大学看護学部の日高庸晴教授による、
LGBT 当事者の意識調査 ~いじめ問題と職場環境等の課題~(2016年)によると、
親へのカミングアウトをしている人は、全国平均22%で、
東京、大阪、名古屋などの都市部では高く
それ以外の地方は全体的に低い傾向が出ています。

これは僕の周りのゲイにも同じことが言えますが、
地方では考え方が古いご家庭が多いようで、
新しい考え方を受け入れる体制が非常に弱い印象を受けます。

自分の中の常識や思い込みにとらわれすぎないように、
意識して心がけてみてください。

相談するなら「人の気持ちを考えられる人」

もし、
子どもからカミングアウトを受けて、
親だけではどうしたらいいのかわからない時は、
誰かに相談してもいいと思います。

ただし、相談相手の選出には、
慎重になってください。

近くに専門家がいればいいですが、
そうでなければ、
口の堅い人、信頼できる人、
そして、
人の「気持ち」に理解のある人がベストです。

子どもの「心の居場所」を大切に守る

「僕がゲイだってカミングアウトしたら、
僕は縁を切られるかもしれない」

ということが脳裏をよぎります。
最悪の結果にだけはならないように。

半数以上が「自殺を考える」

日本国内のバイセクシャル6000人を対象とした調査で、
自殺を考えたことがある人が66%
自殺未遂をしている人が14%というデータがあります。

実際に、僕も自殺を考えていました。

先ほど、カミングアウトを受けた親のアンケートで、
受け入れられない理由として「この先苦労しそうだから」が50.8%と最多でしたが、

それは僕自身が痛いほどよく分かっています。

この先の人生で、
自分なんて幸せになんかなれるはずがない、生きる意味なんてない
と強く強く思っていました。

親に縁を切られたら、この世から居場所がなくなる

このように、
自殺に結びつきやすい状況下に置かれているんです。

そこで、
親に見捨てられたら、子どもは行くところがないんです。

学校で居場所がなかったら、家にひきこもればいいけど、
家で居場所がなかったら、子どもは生きていけないんです。

大人は、誰かの家に転がり込むとか、
知恵や工夫ができるだろうけど、
子どもは、まだ子どもですからね。

そういう意味でも、
親が子を投げ出すということだけは、
絶対にしないでほしいです。

「何があってもお前は私の大切な子どもだ」

一番伝えてほしいことは、これです。

正直、混乱するかもしれないし、
この先、いろいろと苦労するかもしれません。
でも、何があっても、

「お前は私の大切な大切な子どもであることは、何があっても変わらない」

という、
最大の寄り添い、
無条件の愛情なんですね。

まとめ

混乱しても良い。正直に冷静に伝えよう

子どもの「心の居場所」を大切に守る

「何があっても、お前は私の大切な子どもなんだ

ということで、シリーズ第1弾は、
「大切な子どもなんだよ」ということを伝えるという結論でした。

次は、
【子どもからゲイをカミングアウト②】親にカミングアウトをする理由
です。

コメント

  1. […] 子どもからカミングアウトを受けた親御さんのためのシリーズです。今回は、前回の「【子どもがゲイをカミングアウト①】何があっても大切な我が子」の続きです。 […]