#03.カミングアウトブーム

60歳の両親にゲイをカミングアウトした話

60歳の両親にゲイをカミングアウトした話。
今回は、僕がカミングアウトをしまくっていた時期の話をします。

前回は、
生まれて初めてカミングアウトした話でした。
19歳。高校時代の同級生。男子4人。
かなり緊張した思い出です。
(前回→)#02.試しにカミングアウトしてみた~高校時代の同級生編~

あれから彼らは、本当に幸いなことに、
僕と仲良くし続けてくれました。

そして、ここからが僕の悪いクセ。
(ちなみにドラマの相棒は好きですw)

僕は「カミングアウトブーム」に突入します。
今から考えると、これは反省すべきポイントです。

ちなみに誤解のないように最初に話しておきますが、
カミングアウトすることは、悪いことだと思いません。
逆にカミングアウトしないことも、悪いことだとは思いません。

ポイントは、そこじゃない。

ってことです。

それでも当時の僕は、
なぜ、カミングアウトしまくっていたのか。
そして、
なぜ、今はそれを反省しているのか。

その辺にもポイントを置いてお話しますね。
また、このお話では僕のカミングアウト観が、少し変化をしています。
その辺も合わせて楽しんでいただければと思います。

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カミングアウトすると仲良くなる?

高校時代の同級生にカミングアウトをして、
今までと変わりなく仲良くできた。
むしろ、
嘘をつかなくてもよくなった分、より良くなったってことだ。

もともと仲が良かったこともあって、
いじってくれることも笑。

僕としては、ゲイをネタに笑いが取れて、
更にみんなと楽しく過ごすことができるのは、嬉しい。
(誤解のないように書くけど、これは相手や状況によります)

・・・これって。
カミングアウトした方がよかったじゃん。
なんか、以前より仲良くなってる気がする。

カミングアウトして、よかった。

これなら、どんどんカミングアウトして、
いろんな人と仲良くなれたら最高
なんじゃないか。

ゲイであることなんて、短所にしか思えなかったけど、
もしかしたら最高の長所なんじゃないか。

今までの考え方を180度ひっくりかえさなきゃ。
カミングアウトしたい。仲良くなりたい。言いたい。

大学、同窓会、バイト…

大学の同級生にもカミングアウトをした。
彼らとは、大学在学中にたくさん遊んだ。青春を共にした仲間だ。
夜通し朝までずっと遊んだり、時間を忘れていつまでも語り合ったり、
卒業旅行に行ったり、本当にいつも一緒にいた。
そんな彼らには、卒業後にカミングアウトした。
卒業後にしたのは、
在学中だと僕の知らないところで噂が広がって、
変な人に何か言われたり、何かされたりするのが怖かったからね。
カミングアウト後でも、飲みに行ったり、お互いの家に行ったり、結婚式に呼ばれたりした。
やっぱりそれは僕にとってすごく嬉しいこと。
僕をゲイだと知っても仲良くしてくれるのは、
ゲイだということを除いても僕自身がいいヤツになれたからだ、と思ってた。

中学時代の同級生の話。
唯一メアドを交換していた中学時代の同級生からメールが来た。
今度、何人かで集まるから上野君も来ないか、ってことらしい。
中学時代は、クラスで孤立していた僕は、
少し不安はあったけど、
カミングアウトが成功した自信から、喜んで参加した。
そこでも、当時はあまり話さなかった同級生を目の前に、自分がゲイであることを打ち明けた。
さらっ、とだ。
「へぇー、そうなんだー!」くらいのリアクションだったし、特にいじられなかった。
手ごたえは悪くなかったと思う。
でも、彼らとはそれから一度も会ってない。

大学時代にやっていたアルバイトの仲間とも仲良くなった。
バイトを辞めた後でも、食事に行ったりカラオケに行ったりした。
そんな彼らにも、ゲイをカミングアウトした。
彼らは快く受け止めてくれた。
それからも鍋パーティに集まったり、カラオケに行ったりした。
偶然、みんな楽器をやっていることが分かって、バンドをやろうっていう話も出たくらいだ。
彼らとはカミングアウト後でも、仲良くなれた気がする。
だけど、それぞれが進学したり就職したりして、
バラバラになってね。
そこからまったく連絡を取らなくなった。

またある日、地元のスーパーで、
中学時代の同級生の女の子と、偶然、会った。
彼女とは幼稚園の頃から同じクラスだった。とても明るい子でね。
誰とも分け隔てなく話すような、とても素敵な人だった。
その偶然会ったスーパーで、立ち話の勢いで、カミングアウトをしたんだ。
「え!?そうなの?え、え、え、いつからー?」
と明るく質問してくれた彼女だが、
それから特に連絡も取ってない。

仲良くなれないケースにはある特徴が

いろんな人たちと仲良くなりたくて、
僕はどんどんカミングアウトしていった。

とくに僕は中学生時代、クラスで孤立していたから、
彼らに受け入れてもらえたら・・・っていう期待もあったんだな。

だけど、実は、
みんなと仲良くなれたわけじゃなかっ

予想と違ったから、
当時の僕は「あれ~???」って思った。
高校時代の同級生とも、大学時代の同級生とも、
カミングアウトした後に、更に仲良くなれたのに。

だけど、違った。

そこで僕は、
背景に何があるのか考えた。

相手に、自分がゲイであることを伝える。
それから、
カミングアウト後、さらに仲良くなるケース
カミングアウト後、今までと変わらず仲良くしないケース

の2つに分けた。

仲良くなるケースは、
高校の同級生、大学の同級生、バイトの仲間。
おもにこの3例だ。

彼らとはカミングアウト前も、カミングアウト後も、
「語り合った経験」が共通して見られた。
おそらく、ゲイである以外に、
僕がどういう考え方の人間なのか、よく分かってくれてたんだと思う。
いいところも悪いところもひっくるめて、
相手の深いところまで知り合うことができていた。

つまり、
僕と仲良くしてくれた人たちは、
僕のセクシャリティなど、知ろうが知るまいが、
仲良くしてくれたということだ。

一方、カミングアウトしても仲良くなれなかった人たちとは、
まったく語り合って来なかった。
とくに中学時代の同級生については、
僕はクラスで孤立していたので、
みんな僕のことを知らないのだ。

クラスで影の薄いひとりの男子が、
ゲイだとカミングアウトしたところで、
「ふーん」くらいにしか思わない。

つまり、
僕と仲良くならなかった人たちは、
僕のセクシャリティなど、知ろうが知るまいが、
仲良くしてくれなかったということだ。

ここで、僕は一つの結論に達した。

カミングアウトは、仲良くなれるきっかけを生むかもしれない。
だけど、
それ以前に、人と人の付き合いは、
相手との関係を一歩一歩、育むことだ。

よく語り合った仲間たちとは、
関係を育むことができていたんだ。

僕のセクシャリティなんて関係ない。
僕は、自分自身を磨かなきゃ、誰も僕と仲良くなろうとしてくれない。

当たり前のことかもしれないけど、
頭で分かっていただけかもしれない。
ちゃんと分かっていなかったんだ。

付き合ってもすぐ終わる

そんな当時、
初めての彼氏ができた。
ガンガン周りにカミングアウトしてたから、キラキラしてたのかもしれない笑。
確かに当時、僕は謎の自信に満ち溢れていた。

だけど、
2か月で終わった。

僕は、彼氏と街を歩いていて、
「あの子かわいいね」「あの男の子かっこいい」
とガンガン言っていたらしい。

当時の僕は、自分を偽らなくていい相手が見つかった嬉しさで、
思ったことを口にすることが、とてつもなく気持ちよくなっていた。
これは後になって、共通の友人から聞いたんだけど、
彼はそれに傷ついていたらしい。

僕は相手の気持ちを考えていなかった。

ゲイだとかノンケだとか、関係ないんだ。
僕は、ひとりの人として、
まだまだ未熟なんだ。

結局は僕がどういう人か

セクシャリティは関係ない。
結局は、僕がどういう人間なのかが問題なんだ。

人と人が良い関係を構築したいと思うこと。
仲良くなりたいって思うなら、
そう思ってもらえるような人にならなきゃダメなんだ。
自分が仲良くなりたいと思っても、
相手からも仲良くなりたいと思ってもらえなきゃ。
「友達になりたい」の片思いで一生おわっちゃう。

恋人を作ることだって、同じことだ。
人間と人間が、好き合って、人生を一緒に過ごすんだ。
僕が「この人と過ごしたい」と思ったって、
相手からも「上野君と過ごしたい」って思ってもらえなきゃ、
僕は自分の想いだけ盛り上がって、
ストーカーみたいになっちゃう。

ヤバイ、ヤバい、ヤバい。

それに、これから僕が、
いつ、どこで、どんな素敵な人と巡り会うかもしれない。
もしかしたら、今そこの曲がり角を曲がったところで運命の相手と出会うかも。
それなのに、僕が最低なヤツだったら、運命の相手に振り向いてもらえない。

やっぱり自分磨きだ。

表面だけじゃダメ

とくに僕の場合は性格だ。
表面だけのやっつけじゃダメだ。
いい行いを自然とできなきゃダメなんだ。
いいヤツでいることが、自分でも心地よくいられるのが理想だ。
それを心底続けたいと思えるレベルにまで、
自分の心と体に定着させなきゃいけない。

分かりやすいたとえで言ってみよう。
例えば、食べ方が汚い男がいたとする。
新しく出会った彼女の前では、一生懸命きれいに食べようとする。
でも普段からきれいに食べていない彼は、
きれいに食べることがめんどい。苦痛なんだ。
だから、彼女と会う時は、
いつも細心の注意を払って、きれいに食べようとする。
そして、次第にそれが苦痛になってくる。
彼の食べ方は、彼女の前でも、だんだん汚くなっていく。
次第に彼女からこう言われるんだ。
「最初はあんな人じゃなかった」
男もだんだんこう思うようになる。
「女はめんどくさい」「ひとりでいる方が楽だ」

僕は、そうなりたくなかった。
ありのままの自分を、いいヤツにしなきゃいけない。
ウソの自分を見せて、そこを好きになられても、ウソなんだ。

ゲイが社会で生きていくのは、多くの苦しみがある。
社会の中で、ずーっと自分を偽って見せている。

それなのに、
好きな人といる時くらい、
自然な自分でいさせてくれよ・・・。

だから僕は、
自分磨きをすることに決めた。

自分磨きって具体的には?

まず、自分の理想像を持たないように決めた。
理想を持つと、それは目標になってしまい、
到達できない辛さで、ネガティブになってしまいそうだったからだ。
(ここは人によってモチベーションの上がり方が違うから、いろいろあっていいと思う)

僕は、ありのままの僕の中身を、
そのまま、その場で、磨くことにした。

その中でも、とくに意識していたことを並べてみる。

●信念を持たない
頑固になりたくなかった。
変なこだわりを持たなければ、
多くのことができるようになると思った。
哲学的になってもいいけど、結論を持たないように心がけた。
【具体例】
「カミングアウトするべき・しないべき」も、どっちでもいい
年上・年下関係なく、いろんな人と接点を持つようにして、価値観を広げる
「~するべき」より「~したらおもしろい」を意識する
生きる意味を考えてもいいけど結論付けない/時期によって変わってもいい
経験のないことをして新しい世界をおもしろがる人になる
(手話・ボルダリング・音楽活動・仕事でのチャレンジなど)

●多くの人の気持ちに触れる
自分の世界だけで生きると、視野が狭くなる。
人の気持ちには、そう思うに至った背景が必ずある。
「こういう考え方は悪だ」と決めつけず、
そこに至った経緯を知って納得することで、相手をわかりたい。
【具体例】
地元の手話サークルに入る
いろんなゲイと語り合う
生徒を叱らない(生徒の行いの背景を理解する)

●自分を人間性を試行錯誤させる
人間性を磨くというのは、なんとも抽象的で分かりにくい。
そこで、適時、反省会・検証会を行った。
PDCAを回し、事あるごとにバージョンアップして、モチベーションを上げた。
【具体例】
ひとり会議の実施
友人との語り合いで、自分に評価をもらう
思ったことを好きに殴り書きする日記で、自分をモロに振り返る

●ネガティブ要素を排除する
おそらく精神的に辛いこともある。
だから、自分の気持ちをなるべくポジティブでいられるように努めた。
自分の状況がネガティブだと、思考もネガティブになり、生産性が落ちる。
ポジティブな状態だと、冷静な分析は保ちつつ、良いサイクルを生みやすい。
【具体例】
実家を出て、イライラさせる家族と距離を取る
ひとりで楽しむ趣味(サイクリングや映画)、誰かと楽しむ趣味(音楽活動やビリヤード)を作る
仕事を楽しむ&ちゃんと休む
GIVE and TAKEより“GIVE and GIVE”のマインド(相手に見返りを求めない)

結局、成長できたの?

成長できた。
これはハッキリ言えるんじゃないかな。
へこむことはあっても、イライラしたり怒ったりすることが圧倒的に減った。
あと「いつも楽しそうだね」「幸せそうだね」と言われることが増えた。
自分ではそういう意識はないんだけど、
たぶん自分の内側から自然とにじみ出てるんだと思う。

もちろん、幸せな人を憎む人もいるのは知ってる。
でもそれにも、そう思うに至った背景がきっとある。

僕は聖人君子ではない。
もちろん、そんな人になれるとも思わないし、なるつもりもない。
ここではきれいごとばかり書いてるけど、汚い面だってたくさんある。
だけど、
汚い面もひっくるめて人間。
宿題を全然やってこない生徒を愛することだってできた。かわいい。
だからダメダメなところがたくさんある自分を愛することだってできるはず。

「優れている」ことと「愛される」ことは別。
愛されるために優れる必要はなくて。
すべての人間に愛されることは、明石家さんまさんにだって無理。
でも、少なくとも、
僕を好きでいてくれる人、恋人や友達や仲間、
彼らと一緒に好き合って生きていきたい。

・・・って考えられるようになったから、
成長できたんだと思います、たぶん笑。

カミングアウトブームで、
不必要に、自分がゲイであることを広めてしまった僕だけど、
その失敗によって、セクシャリティは関係ないってことが分かった。
結局は、僕自身がどんな人間であるか、ってことだ。

そのために自分磨きをすることに決めた。

でも実は、
その後もカミングアウトすることになる。

とくに衝撃的だったのが、
学習塾で働いていたとき、65歳の女性講師へのカミングアウト笑。
さらに仕事の同僚・社長、今の上司。

だけど、がむしゃらにカミングアウトするわけじゃなくて、
どれも素敵なカミングアウトだったと思っています笑。
自分で言っちゃうけど笑。

次はその辺の話もしますね。

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