#04.職場でゲイをカミングアウト

60歳の両親にゲイをカミングアウトした話

ということで、
今回は職場でのカミングアウト編でございます。

(前回のお話はこちら!「カミングアウトブーム」)

僕は、22歳から40歳まで、
学習塾で教室長として働いていました。

この仕事は、とても心を使う仕事。
しっかり心を込めて真っ直ぐ伝えないと、
伝わらないことがたくさんあります。

子どもに対してはもちろん、
保護者に対しても、
そして教室のスタッフに対しても、です。
信念を持って様々な教育観を具現化して結果に結びつける、
という仕事ですからね。

そしてそこには、
「自分らしさ」が必要でした。
金八先生のマネをすれば上手くいくわけじゃなく、
概念をいちど自分の中に落とし込んで、
それを自分らしく体現するんですね。
僕らしくないと、人の心には響きません。

ですから、
ゲイである自分を隠して生きている僕には、
とても苦痛でした。

「僕らしさ」って?
ゲイを隠した「僕」に、「僕らしさ」はあるんだろうか?

もちろん、性的指向をオープンにしなくても働くことはできるけど、
「先生って結婚しないのー?」
「ウチのお母さん、今フリーだよー笑」
なんていう、子どもたちの笑顔いっぱいのじゃれあいは、
ふとした時に、ふとしたところから、飛んできます。

どんな自分を演じればいいのか。
どんな教室長を演じればいいのか。

考えすぎかもしれないけど、
当時は随分と悩みました。

結局、僕は生徒や保護者の皆さんにカミングアウトはしませんでした。
僕の職場でカミングアウトした人は、

4人。

あの時、僕は、
どうしてカミングアウトをしようと思ったのか。
職場で自分がゲイであることを伝えて、
何か変わったのか。
何も変わらなかったのか。

今日は、僕が経験した、
職場でのカミングアウトについてお話します。

ここではその中の2人について、
山田先生と浜野社長のお話を紹介しましょう。

年上の先生にカミングアウト

授業が終わって生徒がみんな帰ったあと

さてさて。
僕が学習塾で働いていた頃の話。
その日も授業がすべて終わって、
生徒たちもほかの先生たちも、みんな帰ったあとだったかな。

山田先生と教室に残って仕事してた。
山田先生は生徒のための授業準備、
僕は今日の授業の報告書。

山田先生は、60代女性の明るく元気な先生。
でも、一方的で押しつけがましい元気じゃなく、
生徒のことをなんでも受け入れるような、
優しさに包まれたような元気。
あらゆることに理解を示してくれる、太陽のような先生。

よく、人は年を重ねると頭が固くなっていくって言うよね。
新しい物事を受け入れられなくなっていく、とか、
すべてを自分の経験でしか考えられなくなっていく、とか。

だけど山田先生は、その真逆を行く人なんだ。
情報も感覚も常にアップデートをしているから、
話していて本当におもしろい。
自分より年上の人と話してて、
こんなに新鮮さばかりが感じられる人なんてそうそういない。

そんな山田先生と、
談笑しながら仕事をしていた時だ。

ふと、休日に何をしているのかという話題になって、
僕は趣味の音楽活動の話やドライブの話をした。

すると山田先生が、こう言った。

「ねぇ、上野先生、
上野先生って、いい人ないの~?・・・ねぇ!紹介しよっか!」
「あー、ははは」
「上野先生って素敵だから、
素敵な人と一緒に人生を歩むのも素敵よ~」
「んー、まぁ、そうかもしれないですねぇ」
「ねぇ、どう??私の知り合いの女性なんだけど」

今日の山田先生は、やけにグイグイくるなぁ(笑)。

女性を紹介された僕は

実は以前から、こういう場面は想像していた。

おせっかいな人が、
「女性と付き合っていない男性=さみしい」
っていう先入観で、グイグイ女性を紹介する。
そして僕は、
「余計なことすんなよ、マジで」
って思うんだろうなー、って。

でもね、実際に自分の身にそれが起こると、
まったく違う感触だった。

不思議とね、
悪い気はしなかったんだ。

なんでだろう。

多分ね、山田先生はね、
冷やかすとか、人を傷つけて笑うとか、
そういう人じゃないからかなぁ。

僕の幸せを思って、
まっすぐストンと提案してくれた気がした。

だって、もしだよ?
僕が本当にイヤなヤツで、
山田先生が僕のことを嫌ってたとしたら、
自分の知り合いの女性を、そんな嫌なヤツに紹介しようって思うかなぁ。

山田先生は、根っからのいい人。
だって、僕も山田先生が好きだもん。
そんな山田先生が、
僕の幸せを願ってまっすぐ差し出してくれた提案。
それに対して、嘘をつく必要なんてあるのかなぁ。
そう思ったんだ。

僕も普通にまっすぐ。
それでいいんじゃないかな。

「あのー、これ、…ここだけの話にしてくれますか」

僕がゲイだと知った山田先生は

「山田先生、今から話すこと、ここだけの話にしてもらえますか」

僕の言葉を聞いた山田先生は、
たぶん予想していなかったんだろうね。

笑顔と、こわばった顔が、混ざり合ったような表情になった。

「え・・・、え?う、うん・・・、なになに・・?」

この流れで、
僕の口からどんな話が出てくるのか、予想もついていないんだ。
そりゃそうだよな。

山田先生は、
少し不安なようにも、怖いようにも、
それでも笑顔を見せようとしているようにも、見えた。
不安にさせてしまうのも申し訳なかったので、僕は、

「あ、変な話とかじゃないので、大丈夫ですw」

とだけ先に伝えた。
幾分、少し安心してくれたかな。

大丈夫。
まっすぐそのまま、伝えればいい。

「あのー、実は僕、ゲイなんです。同性愛者っていう・・・」
「・・・ん?・・・どう、せい?」
「そうなんですよー(笑)、同性愛者っていうか、ゲイとも言うんですけど」

見つめあっては目をそらして、
沈黙しあうこと10秒ほど。
けっこう長かった(笑)。

「ということで、僕、女性に興味がなくて・・・(笑)」
「あ・・・、あ!そうなんだー!上野先生って・・・あ、・・・へぇー!」
「そ、そうなんですよー(笑)、すみません、驚かせちゃって」

と次の瞬間、

「・・・あっ!」

山田先生が一瞬僕を見た後、
僕からすぐ目をそらして、宙を見つめ、オロオロしはじめた。

「あぁ、、、ってことは、私って、、今、上野先生に」

僕の顔を見るような見られないような、
みるみるうちに目に涙を浮かべて、
それが今にもこぼれ落ちてしまいそうになった。

「わたし、、、なんてことを。知らなかったこととはいえ、、、」

「あ、大丈夫ですよ!ホントに!山田先生、本当に大丈夫です(笑)。
それより、ちょっとだけお話を聞いてもらえませんか?」

「うん、、、ホント、、、上野先生、、、ごめんなさい」

山田先生は、やっぱりこういう方なんだ。
本当に素敵な人なんだよ。

「山田先生は、僕に幸せになってほしくて、
紹介のお話をしてくださったんですよね。
自分で言うのもあれですけど、
もし、僕が本当に嫌なヤツだったら、
山田先生の大切なお知り合いの女性を、
僕なんかに紹介してくださらなかったはずですよね。
きっとその女性の方も素敵な方なんですよね」

「うん、、、確かに、、そうね」

まだ少し涙目で、少し視線を落としたまま、
よくよく考えながら、僕の話を一言一言、確かめるように聞いてくれている。

「僕は、正直、本当に素直に嬉しかったんです。
だって、山田先生が僕の幸せを願って、
こんな素晴らしい提案をしてくださったんですもん。
だから僕も嘘をつかず、正直にそのままの僕をお伝えした方が誠実だなと思ったんです」

「・・・うん。でも、、、傷ついてない?」

「なんで傷つくんですかー!(笑)
嬉しかったんですよー!!
山田先生、僕の幸せを思ってくれて、本当にありがとうございます。」

「ホント?」

「何回言わせるんですかw」

「うん!それならよかった!(笑)
で、、、今は大切な人、いるの?」

「・・・います(笑)」

あとは二人で笑った(笑)。

山田先生は、今までの経験や常識にとらわれない、
常に新しい時代を生きている人なんだ。
だから、目の前をしっかり見据えて、
何をどうすべきなのか、考える。

「今」を生きている人なんだ。

過去の栄光にすがるわけでもなく。
未来に悲観的になるわけでもなく。

とっても素敵な生き方だと思わない?
「尊敬」するのはもちろん。「お手本にしたい」だってそう。
でも山田先生を形容するなら「カッコイイ」って言葉がいちばん。
山田先生、ホントにめっちゃ好きです。

人生レベルで素敵な思い出です。

僕もこんな年齢の重ね方ができたらなぁ。

社長にカミングアウト

塾を辞めるはずが、浜野社長の教室で働くことに

20歳の頃から学習塾で働いてきた僕は、
40歳で辞めるまで、20年間ほど教育業界にいた。
だけど35歳の頃、一度辞めたんだ。

体力的にキツくなってきたこともそうだけど、
何か新しいことをやってみたくてね。

僕が辞めるって話を聞いて、
隣のエリアで教室を展開していた、別の学習塾の社長が声をかけてくれた。

「上野さん、ちょっとウチで教室長やってくれないかな」

それが、浜野社長。
(もちろん仮名w)

浜野社長とは以前から知り合いだったんだけど、
そこまで深く話したことはなかった。

「ウチの会社で、もうすぐ辞めちゃう教室長がいてさー。
良かったら上野さん、やらない?」

「お話はありがたいんですけど、僕も新しいことがやりたくて」

「次の教室長を探すまでの半年だけでも!3か月でもいいんだ!
教室長不在の教室ができちゃうと、そこの生徒さんたちもかわいそうだし」

んんー、それもわかるけど・・・

「次の仕事を探しながら。勉強しながら。好きなことしながらでいいから」

・・・浜野社長、相当こまってるな(笑)。

「じゃあ3か月だけなら・・・」

ということで、一時的に浜野社長の会社に入ることになった。

浜野社長の社長論

それまで浜野社長とは知り合いっていうくらいで、
泊りの研修でご一緒したことはあったけど、
実はあまり深く話したことがなかった。

そこで、浜野社長にお世話になるにあたって、
いろいろお話したんだ。

すると、僕の考え方と共通するところが多いことが分かった。

例えばGIVE&GIVE

相手からの見返りが欲しくて何かを与えるんじゃなくて、
見返りを求めず、ただ与えるだけでいいんじゃない?っていう考え方。
まぁでも周りに与える人って、結果的に周りから与えられることが多いんだけどね。

例えば、
「愛して!愛して!」と愛を求める人は、周りを愛することを忘れやすくなっちゃう。
逆に、
周りの人たちを大切に思い、愛している人は、周りからも愛されていることが多い。

もちろん絶対じゃないよ。
それに、与えたものと同じものが返ってくるとは限らない。
ってか「返ってくる」って言っちゃう時点でGIVE&TAKEになっちゃうんだけど(笑)、
あくまでもマインドとしての話ね。
お互いにGIVE&TAKEの持ちつ持たれつの関係じゃなくても、
相手が必要としてるなら、シンプルにあげてもいいんじゃない♪

まぁ、詳しくはこちらを読んでください(笑)。

とにかく浜野社長は面白い人だった。

「社長の俺が教室を見て回ると、社員ってみんな仕事がしにくくなっちゃうじゃん。
好きに働いてもらった方が個性出せるでしょ。
そんなのいちいち見張ってなくても、みんなしっかりやってくれてるのは分かってるもん」

「何か新しいことやりたかったらどんどん言って。
もしかしたらカネは出せないかもしれないけど(笑)、
誰かに相談したら何とかなるかもしれないしさ」

そして、実際にみんなが楽しく働いて実績が出せるように、
会社を挙げて様々な取り組みを行っていたんだ。
チームビルディングのコンサルを入れて、
会社の問題についてとことんみんなで話し合ったりね。

小さな会社だから、
お互いに信頼しあって支えあわないと、大きなことができない。
だからお互いを理解することが大切だというマインドなんだよね。

よくあると思うんだけど、
5年後の自分、10年後の自分を考えて、発表しあう、っていうね。
あれもやったんだけど、
本気でリアルに考えるんだよ。

「上司が喜ぶだけのただのパフォーマンス発表になったらダメだよ。
評価対象とかにはしないから、心配しないで思いっきり考えて」
「自分がマジで『面白そうじゃね?』って思えることが幸せなんだから」
って言ってたなぁ。

だから、会社を辞めて独立したいって考えてる社員にも、全力で応援しちゃう。

社員の家族に感謝するために、社員の家族宛ての手当てもあった。
家族の誕生日に支給してくれるんだけど、
僕ら社員は、それを家族のために使って、あとで社長に報告するんだよね。
ハッキリ言って、会社には何の還元もない。
社員が嘘をついて自分のために使っちゃってもバレない。
だけどそれが幸せにつながると思ったら、やっちゃうんだよ。
僕らは社長のそういう気持ちが分かってるから、みんな本当に家族のために使ってた。

とにかく、いろんな取り組みをやっている会社だった。
宗教っぽい側面もあったけど(笑)、
会社の考え方に共感しなくても大丈夫な風土だったし。
そこが変な宗教と違ったんだよね。

幸せの在り方は、社員によって違う。
だから考え方もいろいろあっていい。
そのかわり、幸せを目指す会社だった。

そう。
一言でまとめると、
「幸せって何か」を追求する会社だったんだ。

この「幸せって何か」というテーマ、
ゲイであることを隠して生きている僕にとって、
僕の心に大きくヒットしちゃった。

僕は、ゲイ。
結婚もできない、子どもも持てない、子孫も残せない。
この僕の「人生の幸せ」とは、いったい何なんだろう。

辞めたがっている人と、浜野社長

さて、話は戻りまして。

この会社を辞めようとしている教室長、末松先生。
その代わりに赴任しようとしている僕、上野先生。

教室の引継ぎをしなきゃいけない。

末松先生は、僕と年も近くて話やすい人だった。
実はこの末松先生とも知り合いで、以前から何度か話したことはあった。
そこで聞いてみたんだ。

「末松先生、なんで辞めるんですか?こんないい会社。家族もいるのに」

そう、末松先生には生まれたばかりのお子さんがいた。

「浜野社長は僕のことを信頼していないんですよ。まったく評価していない」

・・・あの浜野社長が?

後日、浜野社長に聞いてみたんだ。末松先生のことをどう思っているのか、を。
すると真逆の言葉が返ってきた。

「末松先生は生徒さんからの支持も厚いし、保護者受けもいいんだよねー。
だから正直辞めてほしくないんだよー」

どうやら、お互いに誤解しているようだった。

そう、
浜野社長は「口下手」だった。

熱い思いは多く持っているんだけど、
胸にしまっちゃってるんだ。
言葉に出して伝えるのが苦手。

完璧な人間なんて、いない。
僕は浜野社長のそういうところも人間らしくていいなーと思ってた。

でもちょっと待てよ。

これってさ、
僕が二人の間に立って、仲を取り持つことができれば、
僕は会社を辞められる!

ということで、
お互いがお互いにどう思っているのか、
正直なところを改めて聞いてみた。

そしてそれを両者の了承のもと、
両者に伝えてあげたんです。
トゲのない言葉で、分かりやすい言葉に換えてね。

そしたら、末松先生は教室長を続けてくれることになった!

やった!!

これで僕は自分の好きな道に進める!!

と思ったんだけど、
浜野社長がこれに感動してくれちゃったみたいで、
僕にこう言ってきた。

「上野さん、末松先生は辞めると言ってきかなかったんだよ。
でも上野さんは、末松先生と会って数日でひっくり返してくれた。
末松先生に良い影響を与えてくれたみたいに、
ウチの教室をラウンドして、たくさん影響を与えてくれないかな。
新しいことやってみたい上野さんにも、ちょうどいい提案だと思うんだけどな。
今までの経験を活かしながら、新しいことをやってみることにもなるし」

・・・やられた。

完全に心をつかまれた。

こうして僕は、
浜野社長の会社で40歳になるまで働くことになった。

無条件の愛情

実は、浜野社長、
年は僕より数個くらい上。
だから年代はほとんど一緒だった。

年齢じゃないんだよね。
小学生の生徒から大切なことを学ぶことだって、たくさんある。

その中で、浜野社長に教わっていちばん勉強になったのが、
「無条件の愛情」。

何があっても愛してしまうっていうのが「無条件の愛情」。
世間を敵に回しても愛してしまう。
たぶん、大切な人や、家族と言われるような間柄の人には、
この「無条件の愛情」があるんじゃないかな。

親の愛情を例えて話してみるね。

親は、子どものためならどんなことでも頑張ってしまう。
子どもが例え罪を犯しても、社会から抹殺されようとしても、
体を張ってでも守りたくなってしまう、
親が子どもを愛する「無条件の愛情」。

実はこれ、
親ならだれもが持つわけでは、ない。

良い成績を取る子どもには愛を示して、そうでない子どもには愛を示さない。
言うことを聞く子どもには愛を示して、そうでない子どもには愛を示さない。

実際にいろんな親子や家庭を見てきたけど、
「条件付きの愛情」を示している親は、実に多い。

とくに、厳しいしつけや教育を行っている家庭は、そうなりやすい。
子どもは、
「親の言うことを守らないと愛されない」
って思ってしまう。

これの何がいけないかって言うと、

親の愛情がすべての判断基準になるってことだ。
「親が悲しむから勉強がんばる」
「親が喜ぶから『いじめは悪いことだ』と話す」
ってなる。

「夢があるから勉強がんばる」
「いじめは悪いことだと思って『いじめは悪いことだ』と話す」
じゃなくてね。

本質的じゃなくなるんだ。
目の前の事態の解決じゃなくて、
親の顔を見て行動しちゃう。

これは会社においても同じだ、というのが浜野社長の哲学だった。

社長の顔色を見て働くんじゃない。
生徒や保護者、教室に関わる全ての人たちの幸せのために、働くんだ。

でも、社長がそれを一生懸命みんなに伝えても、
社員は社長の顔色を見て働いてしまう。
そこで浜野社長は、
社内における社員の身の安全(心理的安全性)を保障した。

言い換えると、
ウチの社員である以上、
クビにしない。
責任は会社が持つ。

社員は会社からの無条件の愛情を感じると、
本来の役割に集中できるため、本質的なクオリティが磨かれていく。
すると会社の成長につながる、というわけだ。

もちろんそう簡単にできるわけじゃない。
失敗もしたし、だからこそ努力も続けていた。

実際に、浜野社長の真意が伝わらず、
末松先生だって誤解してしまった。
でも、だからこそ、
そこに幸せはなくなって、末松先生は辞めようと思ったわけで。
逆説的に証明しちゃったんだけどね。

無条件の愛情は、
本質的なことに目を向ける、大切な条件だと思う。
無条件の愛情を受けて、
人はやっと独り立ちして、
あらゆる社会の困難に立ち向かっていけるんじゃないかな。

僕も、浜野社長の無条件の愛情を受け取った、
「浜野チルドレン」のひとりだ(笑)。

僕のことを応援してくれている人は、
世の中に、必ずいる。
今はいなくても、過去にもいたし、未来でもできる。
そう信じていられるのは、
親や、浜野社長や、
友人や仲間たち、大切な人からの、
「無条件の愛情」
があるからだと思う。

「ウソの台本」が要らなくなった

カミングアウトの話だけど、
その瞬間は突然訪れた。

ある日、浜野社長と将来のことをいろいろ話し合ってたんだ。

教育業界を辞めてからどうするのか。
なぜ辞めるのか。
実績があるのに辞めてまで何をしたいのか。
何を大切にして生きていくのか。
人生をかけてやりたいことって何か。

ここまでウソをつき通すくらい、
僕には「ウソの台本」はなかった。

それに、
浜野社長に隠す理由がどこにあるのか。

むしろ、すべて本音で話して、
考え方を深めた方がいいんじゃないか、と思った。

「一応、ここだけの話にしてほしいんですけど」

とだけ軽く伝えた。

「なになになに?(笑)うん、ぜんっっぜんいいよ」

この人ともっと語り合いたい。
社長から見た僕の考え方や人生って、どんな形をしてるんだろう。

知りたかった。

思ったことを順番に話した。

「塾業界で20年働いてきて、
指導方法も、教育観も、教室としての業績も、高まってきたと思うんです。

ギターも25年以上弾いています。
奏法や歌い方、アレンジも引き出しがかなり増えました。
音楽活動も少しずつ面白くなってきました。
(某有名ミュージシャンと音楽番組出演、某グランプリ獲得、FMラジオ番組OP曲など)

ものの考え方、伝え方、話し方、自己啓発、
僕のようなゲイとして悩む人たちの力になれないかな、って。
ゲイの人たちだけじゃなく、
もっといろんな人のために、できることがたくさんあるんじゃないかな、って。

塾で培ったこと。
ギターのこと。
ゲイのこと。

もっと社会に還元できることがたくさんあると思うんです。
だから自由に生きたいんです」

・・・こんな話をしたんだ。

浜野社長のリアクションは、
とても浜野社長らしいものだった(笑)。

「あ、そうなの!?え、あ、そうなんだー!!へぇー!!」

明るくて、率直で、語彙が少なくて、ノンケ男子って感じ(笑)。
誤解を恐れずに言えば、柴犬みたいな社長です(笑)。
(浜野社長ごめんなさいw)

それから、
僕がゲイであることも、
ギターが得意だってことも、
教育業界で働いてきたことも、
すべて同じレベルで普通に話してくれた。

ホントに面白い人だ(笑)。

「俺にもゲイの知り合いがいるんだけど、紹介しようか!?」

「ゲイの知り合いは僕の方がたくさんいると思います(笑)」

「あ、そっかw」

社内でのカミングアウトは

僕の場合、
山田先生と浜野社長にカミングアウトしたんだけど、
ふたりとも、僕が在職中にカミングアウトしたんだよね。
(実はあと2人伝えた人がいるんだけど、これはまた次の機会にお話ししますね。)

以前だったら考えられなかった。

なぜなら、今いるコミュニティでカミングアウトしたら、
それをネタに、危険な目に遭うんじゃないかと思ったから。

「ばらすぞ」とか「あいつは変態だから」とか。
僕のいらないところで言いふらされたり、ね。

ところが、
このふたりが、ふたりとも素敵な人だった。

山田先生には、
ゲイだとかストレートだとか関係なく、
人が人の幸せを願うことが、
こんなにもシンプルに心躍る、素敵なことだと、
教えてもらった。

浜野社長には、
無条件の愛情の前には、
ギターが得意なことも、ゲイであることも、
ラーメンが好きなことも、らっきょが嫌いなことも、
どれもただの個性にすぎないってことを教えてもらった。

結局ね、
カミングアウトを社内でするとかしないとか、っていうより、

やっぱり「人」なんだね。

ふたりとも、僕が危惧したようなことはしなかったし、
これからもしないと思う。
もちろん、素敵な仕事仲間に恵まれない人もいる。
わざわざゲイだと伝える必要はないし、
職場でそこまで深い人間関係を築く必要もない。

だけど、
僕は伝えたかったんだ。
この素敵な人たちと、深くかかわりあって、
もっと幸せになりたい。
そこでカミングアウトすることがプラスに働くような気がしたんだ。

なんかね、僕は思うんだけど、
人を信用する人って、同じように人を信用する人を集めていく気がする。
人間不信の人って、人間不信の人を集めちゃう。

だって、
同じマインドの人といると「僕は正しいんだ」って思えて、心地いいんだもん。

学校のクラスを思い出してごらん。
だいたい同じ波長の人が固まるでしょ。
「自分はこれでいいんだ」
って思いたいんだよ、みんな。

ってことはね、
自分を信じてほしいなら、
自分から人を信じることだよ。それが早い。
だって、
他人を変えるより、自分を変える方が簡単だもん。

愛してほしかったら、
愛することだね。

僕は、好きな人と分かりあいたい。
だから、僕と分かりあいたいって思ってくれる人が、近づいてきてくれる。
あとはちいさなキッカケ、小さな勇気。ちょっと踏み出すだけ。

結局、人生って自分の思い描く方に進むのかも。
だからポジティブっておもしろい。

こうやって僕は、
カミングアウトが「うまくいく」とか「うまくいかない」とかいうより、
カミングアウトを通じて、いろんな価値観に直に触れることができた気がする。

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