子どもからカミングアウトを受けた親御さんのためのシリーズです。
今回は、
前回の「【子どもがゲイをカミングアウト①】何があっても大切な我が子」の続きです。
子どもからしたら、
もしかしたら親子の縁を切られるかもしれないのに、
どうしてそこまでして親にカミングアウトをしようとするのか。
今日はそこに焦点を当ててお話していこうと思います!
上野正卯(うえの・しょうぼう)
1979年・千葉県生まれ・ゲイ。
現在、付き合って7年になる彼氏と同棲中。
大学卒業後は教育業界で18年。
ゲイとして悩んだり工夫したりしたことが、
多方面で大きく活用できることを実感しています。
そこまでしてカミングアウトをする理由は「親子の関係をよくしたい」
そもそも、
一生カミングアウトをせずに、本当のことを隠して生きていくゲイもいます。
親にカミングアウトをすれば、
縁を切られる可能性もあるのに、
そこまでして、
なぜカミングアウトをしたいのか。
必ず理由があるはずです。
理由は、人それぞれです。
でもすべての理由に共通していることは、
親子関係を良くしたい
ということです。
「いや、そんなこと言っても、ウチの親子関係は良好だよ」
と思うかもしれませんが、
子どもがゲイなのを隠している時点で、
本当の自分を、親にさらけ出せていないということです。
つまりは、何らかの理由で「さらけ出せるだけの関係ではない」と理解できます。
でも、それを伝えたいということは、
「今までよりもっと強い親子関係にしたい」
と思っているのです。
ちなみに僕の例ですが、ご紹介します。
※ここからは僕の体験談なので、
他のゲイにも当てはまるわけではありません。
参考までにお読みください。
女性との結婚はできないことを伝えるため
僕は長男です。
僕の両親は、僕の結婚を望んでいました。
直接言葉では言いませんでしたが、待ち望んでいることは明らかでした。
このまま一生黙っていることも考えましたが、
中途半端な期待を持たせているより、
しっかり伝えて、気持ちを切り替えてほしいと思ったからです。
間違えてでも、女性と結婚してしまわないようにするため
僕の両親は、心配性です。
僕が結婚しないことを心配し、
どこからかお見合い話を持ってくる可能性がありました。
お見合いとなると、両家の期待もあるだろうし、
僕が女性にお断りをしなきゃいけなくなる。
例えば、親戚同士だけで話を進めて強引に結婚させられたとしたら、
僕は好きでもない人と一生ずっと家庭生活を営まなくてはいけなくなる。
僕も不幸。
そしてもしゲイがバレたら、妻も不幸。
子どもがいれば、子どもも不幸。
両家の親類にも「なんでゲイを隠して結婚したんだよ!?」と思われ、
この結婚で、
一体、だれが幸せになるのでしょうか。
世間体を守るために犯すリスクとしては大きすぎます。
そのため、僕は絶対に女性と結婚してはならないと思いました。
親の責任を感じてもらうため
別に両親に「俺をこんな風に生みやがって!」とは全く思っていません。
これは今だから言えることかもしれませんが、
僕は、ゲイに生まれて良かったとさえ思っています。
これは、強がりとか負け惜しみとかそんなんじゃないんですけど(笑)、
こう思えるようになるまでに、数十年かかりました。
その間、
ツラいことや苦しいこと、納得できないことが、
本当に山のようにたくさんたくさんありました。
でも、
自分ではそれらを全部乗り越えてきたつもりです。
「あなたの息子は、あなたたちの知らないところで、
こんなしんどい人生を歩んできたんですよ。
少しくらい分かってあげてもいいんじゃない?」
「親なんだから、
息子がどんな人生を歩んできたのか、歩んでいるのか、
ちゃんと目に焼き付けておきなさい。」
って感じです(笑)。
スーパー上から目線ですねw
本当の僕を知ってもらいたい
両親から見た僕って、
今までの姿はウソですよ。
僕のウソの姿を見て、あーだこーだ言うんですから。
親の言葉なんてあまり心に響きませんでした。
でも当時、親は60歳。
僕は一人暮らしをしていたし、
年に2回くらい会えたとして、あと20年。
40回も顔を見たら、永遠にさよならでしょ。
本当の僕を知ってもらいたかった。
親が、死ぬときにね、
僕がカミングアウトをしないまま、真実を知らないまま、
息子が結婚できないのを残念がりながら死んでほしくないと思ったんだよね。
かといって、僕には偽りの結婚生活を送ることはできなかった。
それなら、
「ゲイとして」だけど、
めいっぱい幸せな人生を歩んでやってさ、
それを見てもらった方が、正直な気がしたんだよね。
その方が、
親が死ぬ直前にさ、
「あー、大変だったけど、面白かったなぁ」
って思いながら死んでくれるかなぁって思ったんです。
やっぱり「親子関係を良くしたかった」
こうして自分のカミングアウトの理由を並べてみると、
やっぱり僕も、
「このままの関係ではダメだ」
「僕は両親と、両親は僕と、ちゃんと向き合わなきゃいけない」
って思ってるんですね。
やっぱり、
親子関係を良くしたかったんだと思います。
結局、子どもに何て言ったらいいのか
さて、話を元に戻しましょう。
子どもがゲイであるということを、
受け入れられても、受け入れられなくても、
これだけは伝えてください。
「君は私の大切な子どもだ。それは何があっても絶対に変わらない。」
あとは、今の気持ちを率直に、でも感情的にならず、冷静に伝えていいです。
受け入れられるなら
カミングアウトの際に、受け入れられそうだったら、
このようなことを伝えてあげるといいと思います。
- 自分の人生をどう生きるかは自分次第だから、頑張りなさい。応援するよ。
- あなたがゲイでも、幸せに生きてくれればそれでいいよ。
- 何か困ったことがあったら力になりたいから、相談してね。
受け入れるのに時間がかかりそうなら
ショックが大きすぎて、ちょっと時間が必要なら、
それもシンプルに、冷静に伝えましょう。
- まずは勇気を出して言ってくれてありがとうね。
- びっくりした。これからの人生にもいろいろ影響しそうだね。少し時間をかけてじっくり考えてみてもいいかな?
- あなたの人生について、一緒にしっかり考えていきたいから、これからも話していこう。
- あなたについて何か知りたいことが出てきたら、また質問してもいい?
受け入れられないなら
受け入れるのがなかなか難しいようなら、
まずは知識として、LGBTとはどういうものなのか、知るところから始めましょう。
- 正直、そういうことはよく分からないけど、まずは幸せでいてほしい。
- LGBTについては詳しくないから、まずは勉強するところから始めたい。
- LGBTがどういうことなのか分かってから、しっかり向き合っていきたい。
困惑しているなら
困惑しているなら、素直に、冷静に伝えましょう。
- 正直、ちょっと混乱しているから、少し冷静に考える時間をくれないかな。
- 感情的に何かを言うより、ちゃんと考えて返事をしたいから、何日か時間をくれる?
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